おっぱいが嫌いな男の子なんていないのかもしれない。

ただ円城寺くんの場合は、度を越えているといっても過言ではなかった。


でもだからといって、彼を軽蔑したり、嫌悪感を抱くようなことはなかった。

むしろ、ほほえましく思えたほどだ。


けれど――。


そこでまたひとつ、重大な問題が発生したのだ。


そう、わたしは貧乳だった。


それも並はずれて。

ささやかな膨らみもなにもない、見晴らしの良すぎる大平原がそこにあった。


母を見ても、祖母を見ても、遺伝的に胸が大きくなる見込みは絶望的だったし、わたしの中に貧乳のDNAが息づいているのは、自分の胸を見ればあきらかだった。

そのことについては早々にあきらめていたのだ。


でも、円城寺くんがおっぱいをこよなく愛する男の子である以上、そういうわけにはいかない。


だから豊胸した。


整形、豊胸、レーザー脱毛、ついでにお尻のイボも取って、総額四〇〇万円。

わたしにとっては法外な金額だったけれど、見返りは十分すぎるくらいにあった。


色んなところでチヤホヤされ、色んな男の子がわたしに近づいてくる。

それまでも男友達はたくさんできたけれど、近づいてくる目的が違うのだ。

わたしはそれを肌で感じることができたし、巨乳という武器に秘められた力には、わたし自身おどろかされた。


そして、その力が存分に発揮される相手は、今わたしの目の前にいる。