「着る?着ない?」
「着ますっ!、着させてくださいっ!!」
微かに目元に光るものを浮かべ、いそいそと古びた着物を脱いだ。
下地だけとなった砂希に、何枚かの内絹と、砂名の鮮やかな朱色の着物を着せ、帯で縛ってやる。
すると、砂希はあどけなさは残るものの、13歳には見えないくらい綺麗になった。
「ふふ、やっぱり私の見こんだ通り。とても良く似合うわよ」
「そんなこと…、やっぱりあたし、恥ずかしいです……」
ほんのりと頬を赤く染める砂希を見て、砂名は一喝した。
「これくらいで緊張してどうするの?化粧だってするのに…。今からそんなに固くなってちゃ、最後までもたないよ?」
「はい、頑張ります」
スーハー、スーハーと深呼吸を繰り返した。

