「さ、わかったら早く着つけを手伝ってちょうだい」
「はい!」
元気に返事をし、再びパタパタと忙しそうにへやをかけまわった。
「まったく、さっき言ったことをもう忘れてるわね。」
そう悪態をつきつつも、妹のように感じている砂希を、温かい目で見守っているのだ。
「砂希、髪を結うから手伝ってちょうだい」
「はい、どんなふうにしますか?」
引き出しから櫛(クシ)と、色鮮やかな装飾をほどこした簪(カンザシ)を取りだした。
「そうね、いつもどうりでいいわ」
「わかりました」
すると案外慣れた手つきで砂希はやすやすと長い髪をあっというまに結い上げた。
「相変わらず上手ね。これだけは砂希が誰より一番よ。」
「えへへ、ありがとうございます。」
嬉しそうににこにこしてる砂希と、それを温かい目で見ている砂名の部屋に、女将がやってきた。

