砂希が女将さんを呼んで戻ってきたので、夕は女将さんの横に立ち、砂希は二人の後ろにつき、麗蘭を後にした。 「幾斗様は……」 向き直り、幾斗のほうを向けば、続きの言葉を言う前に抱きすくめられた。 「今夜はおまえを、砂月を召したい。」 召したい……… つまり男女の関係を交わすのだ。 「幾斗様……では、隣の部屋へ。布団が用意されてますゆえ」 「いいだろう」 幾重にも重ねた重い着物を着た砂名を、幾斗は軽々と抱き上げ、隣の部屋へと運んだ。