「え…?」


「結婚しよ?莉子」


ドサッ



肩に掛けていた黒のボストンバッグが、音を立てて床に落ちた。


カチッ…カチッ…


静かになった部屋に時計の音が響く。


「なっ…何…言ってるのよ…。」


目の中の黒い部分が右に左にと、忙しく動いている。


「プロポーズだけど……。」


「わ…分かってるわよ。」