「今ここで翔太って呼べよ」

「嫌だ…」

「早くしろよ」


私は覚悟を決めて手を振り上げた。

藤宮くんの表情が少し曇る。


「もう1度叩かれたいの?藤宮くん」

「別に叩いてもいいよ」

「は…?」

「誰にも言わないよ。叩けば?」

「藤宮くん…」


私はなにも言えなくなって
藤宮くんをじっと見つめた。


なにやってんの?
早く叩きなさいよ、私!!

自分にそう言ってみたけど
振り上げた手は降ろしてた。