「ギブアップですか?」

「う、うるさい!」


藤宮くんはチラリと腕時計を見た。

そっか!もう少しで授業が始まるんだ!


「藤宮くん!早く教えてよ!」

「ホントに思い出せないわけ?」

「分かんない!」

「はぁー…」


藤宮くんは溜息をついた。

そして言った。


「俺は、藤宮拓海の弟だよ」

「た…くみ…?」

「あんたの元彼」


藤宮くんの言葉に私の頭の中に
昔の思い出がよみがえってきた。


拓海…。

私の付き合ってた優しい人…。

でも拓海は優しすぎた…。

その優しさは私は傷つけるの…。