「ゴメンね……。バイトが遅くなっちゃって……寒かったでしょ?」
「ううん。大丈夫。さっき、コンビニで温かいコーヒー買ったから」
葵さんは、フリースのポケットから缶コーヒーを取り出した。
あっ……。
そっか。
だから駅にいなかったんだ。
「雪来のも何か買えば良かったな」
「ううん。私はいいよ。それは葵さんが飲んで?」
「じゃあ、半分ずつ飲も?」
葵さんが缶コーヒーのプルタブを開けた。
「雪来から飲みな?」
そう言って、葵さんは缶コーヒーを差し出した。
「えっ、いいよ~。葵さんから飲んで?」
「俺は後でいいから。はい」
私の手に缶コーヒーを握らせた。
「ありがとう」
私はそう言って、缶コーヒーを飲んだ。
温かいコーヒーが冷えた体が少しだけ暖かくなった。



