「困ります」
そうキッパリ断った。
「どうして?やっぱ彼氏いるの?」
私は無言で首を左右に振った。
「じゃー断る理由ないじゃん」
「自惚れてます?」
「は?」
「デートに誘ったら断る女なんていないって思ってます?」
「はぁ?」
「私、山下さんのことは好きとか嫌いとか、そういう感情は一切ないですから。失礼します」
私は山下さんの横を通って、駅から出ようとした。
その時――。
山下さんに腕を強く掴まれた。
掴んだ手に力が入り、コートの上からでも、かなり痛い。
「離して下さい……」
山下さんの顔を見る。
目が怖い。
蛙を睨む蛇のような……。
冷たい鋭い目で私を見てる。



