「やっぱ、もういないじゃん」
えっ?
声がする方へ向くと、駅の出入口に山下さんが立っていた。
何でいるの?
「もう帰ったんだよ」
「それはないです」
「どうして、そう言い切れる?」
山下さんが1歩1歩近付いて来る。
「それは……」
「その友達のことは忘れてさ、俺とデートしない?」
「はい?」
何言ってんの?
「俺さぁ……実は……佐原さんのこと、前から気になってたんだ……」
「えっ?」
目を見開いて山下さんを見る。
こんな時に何言ってるの?
バイト仲間に人気のある山下さん。
バイト仲間の子ならデートに誘われ、告白されたら嬉しくてホイホイ付いて行くだろう。
でも私は、山下さんをただのバイト先の社員の人としか思ってなくて、恋愛感情なんて全くない。
だからいきなりデートやら気になるやらと告白されても困る。



