あと10分でバイトが終わる。
10分が長く感じる。
時計ばかり気になる。
早くバイトが終わって欲しいなんて今まで思ったことなかった。
葵さんは、もう駅で待ってるかもしれない。
最後の客がクラブハウスを出て行く。
テーブルを片付ければ、バイトは終了。
「佐原さん?」
テーブルを片付けてる時に、山下さんに声をかけられた。
皆、私のことを名前で呼ぶのに、山下さんだけは"佐原さん"と呼ぶ。
「何ですか?」
「俺さぁ……やることあって、まだ帰れないんだよね」
「はい……」
「だから、その片付けが終わったらテーブルクロスの交換してもらってていい?交換が終わったら送って行くから」
「えっ?」
テーブルを片付ける手が止まる。
私は顔を上げて、山下さんを見た。



