「葵さん?」
「ん?」
「ひとつだけ聞いてもいい?」
「うん。何?」
「お父さんとお母さんには……会ってないの?」
「会ってないよ。家を出てからずっと……」
葵さんは、目線を私から窓の方に移してそう言った。
「そうなんだ……。ゴメンね、変なこと聞いて……」
「いや、いいよ……」
葵さんの目線が再び私の方に戻った。
「明日、バイト?」
「うん」
「ゴメンな。早く寝ないと辛くなるな……」
「ううん、大丈夫」
「寝よっか……」
「うん」
葵さんは、私の頭を優しく撫でると、座布団で作った布団に寝転んだ。
「おやすみ」
「おやすみ」
私は、ゆっくり目を閉じた。



