「雪来に話したかったから話しただけだから……。だから泣かないで?」
葵さんの指が、目尻から頬に優しく触れる。
"ビクッ"と反応する体。
それと同時に、私の胸は痛いくらいドキドキしていた。
「親元にいた時は、金には困らなかったけど自由がなくて、今は派遣切りに遭ったりして、一文無しだけど自由があるから、俺は今の方が楽しいんだ」
「葵さん……」
「それにさ。東京から、この静かな町に来て、雪来と出会ったから……」
葵さんが私の頭を優しく撫でた。
"雪来に出会った"
そんなこと言われたら……私……。
「でも、いつまでも無職のままじゃいけないからさ。早く仕事を見つけないとな。雪来に迷惑かけてられないし……」
「そんなことないよ!」
私は首を左右に振った。
「私は迷惑だなんて思ってないよ」
「ありがとう」
葵さんは、私の頭を撫でながらニッコリ微笑んだ。



