キッチンを綺麗に片付けると、私はベランダに出る窓のカーテンを開けた。
「ちょっと寒いけどゴメンね」
そう言って、窓を開けてベランダに出た。
「何、してんの?」
葵さんもベランダに出てきた。
木の台の上に置かれた植木鉢。
その前にしゃがんでいた私の隣に、同じようにしゃがむ葵さん。
「この花、育ててるから様子を見にね」
「何て花?」
「スノードロップ」
「スノードロップ?」
「バイトの帰りに、園芸店の前をたまたま前を通りかかって見つけたの」
「へぇ……」
葵さんがスノードロップの芽をチョンと触った。
「俺は花のことはよくわかんないけど、名前がいいね」
葵さんはそう言うと、立ち上がり柵に手をかけて遠くを見つめた。



