ひとつ屋根の下。
男と女の奇妙な同棲生活の始まり――。
葵さんに対して、警戒心がないと言ったら嘘になる。
「雪来はさぁ……。俺のこと怖くないの?」
晩ごはんを食べ終わって、お茶を飲んでいた時、葵さんがそう聞いてきた。
「えっ?」
マグカップを持つ手が止まった。
「ひとつ屋根の下、男と女が一緒にいる……。俺が雪来に何かするかもしれないよ?男って、可愛い子が目の前にいると欲情を抑えられない生きものなんだ……」
葵さんはそう言うと、顔を近付けてニヤリと笑った。
"可愛い子"と言われたことで胸がドキドキしてきた。
もしかしたら嘘かもしれないのに……。
葵さんの綺麗な顔が目の前にある。
恥ずかしい……。
思わず目を逸らした。
怖いというより、先に恥ずかしいという思いが込み上げてきた。
「警戒心がないと言えば嘘になるけど……。でも……」
葵さんなら……葵さんになら……私は……。



