玄関の外に出た。 さっきまで激しく降っていた雪は止んでいた。 私は誰もいないアパートの裏に回った。 鞄の中から定期預金の通帳を取り出す。 女優になることだけを夢見て、高校の時にバイトを始めて今日まで、コツコツと貯めた預金。 1度も下ろしたことがない。 でも今日、彼……葵さんのために下ろすことにした。 初めて会った人に対して、どうしてここまで出来るんだろう……。 彼を見てると、助けてあげたい、力になりたいと思ってしまっている自分がいる。 私は通帳を鞄にしまうと、駅に向かって歩き出した。