コンビニに昼飯を買いに行く途中で見つけた貼紙。
俺は迷いもなく次の瞬間には携帯を片手に、掲載されている番号を押していた。

「090-1234-****……と」


プルルル……。


どんな人物が電話に出るのか。俺の心臓が、久しぶりにドキドキしているのが分かった。



「はい」



男性の声が聞こえる。
歳は──二十代くらいの。

「あ、あの。貼紙を見て電話したんですけど。スタッフ募集ってやつ」

『……超能力は使えるのかい?』

ぶっきらぼうとも言える言葉が続く。

「超能力。やっぱ使えなきゃダメなんですかね」

つーか、そんなヤツどこを探したっているわけないだろ。
悪戯電話防止のハッタリだと思っていたのに。

『当たり前だ』

本気……みたいだな。
せっかく面白そうだと思ったのにな。

「そうですか……」

そう言って電話の『切』に指を動かした。
まだボタンは押してない。

『あ〜〜ちょっと待て!今から言う、俺の課題がクリアできれば雇ってやるよ』

課題──!?

「何ですか、ソレ」

『簡単なことだ。今、俺が居る場所を探せばいいんだからな。頑張れよ、じゃあな』

「居場所って、そんな!ちょっと!待っ」



──プチ、ツーツー……



「なんだよ!勝手に切りやがって!」

居場所なんて、
分かるわけないねぇだろ。

俺は憤りを感じながら携帯電話をたたむと、ズボンの後ろポケットに突っ込んだ。