「あの──、」

冥がつまらなそうにしているのに気づくと、俺は『ごめん』と言いかけそうになった。

「そうだ、これ」
永倉先輩がズボンの後ろポケットから差し出したのは、
……一枚の写真。

「さすが、先輩!」

冥はそれに飛びついて喜んだ。
まるで何が写っているのか分かっているのように──。

「まぁ、僕なりに調べたってとこかな」

「調べた?」

俺にはまだ何のことか分からなかった。

「先輩の能力は『予知夢』、未来に起きることをカメラに写し出すことができるの」

やっと彼女が喜んでいた理由が分かった。

そして、

これこそが俺たちの行うハズだった『調査』

「僕の予想では取引は一週間後。場所はおそらくここ、奴らのアジトの地下室でね」

「取引の相手は、やっぱり睨んだ通りだったわね」

「そうだね」

う──ん、いまいち会話についていけん。
俺だけ取り残されてる気がするんですけど……。

「総ちゃん?」

「俺にも分かるように説明して下さい!」

俺はそんなに自己主張が上手くはない。だけどこれだけははっきりと言わないと。

「ごめん、ごめん。悪気はなかったんだ。許してくれ」

仲間ハズレは嫌だ。

「取引の相手は芸能界にも顔が広いアドベンチャーレコードの浦野社長……総ちゃん、ごめんね」

「あ、いや」

改めて謝られると少し照れ臭かったりして。



「もう少し、調べて行こうか」

冥は俺にそう言いながら、ニッコリと笑ってくれた。