ほんとはそんなの、すっごい嫌だけど。
考えると、苦しくて、涙が止まらないけど。
せめて、この気持ちが無くなるまでは…。
「それって…」
今までうつむいていた師匠が顔を上げて言う。
「…?」
吸い込まれるようにその瞳を見ていたら、師匠が私に近づいて、しゃがんでいた姿勢から、優しく押し倒される。
今の私は、手を地面についてる状態。
後退りしたいけど、師匠がすぐ近くにいて出来ない。
なんか、こんな状況前にもあったような…。
「師匠…?ちょっと…」
そうだ。思い出した。
『好きって何?』
なーんて恥ずかしいこと聞いたときも…。
こんな風に師匠の顔が近くにあって、師匠の手が私の頭と頬に触れて…。
って。
「からかわないでください…っ。私は、真剣に…!」
からかわれてるってわかってるけど、自分が真っ赤なのがわかる。
至近距離に堪えられなくなって、私はぎゅっと目をつぶった。

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