Rainbow Love Story [短編集]


*香夜*



「香夜様!婚約を…解消なさったとは本当ですか?」



執事の川瀬が驚いて聞いてくる。



「あぁ…情報が早いね。本当だよ」

「何故、急に…!」

「急にじゃない。前から考えていたことだ。
未緒には、もっといい人がいる」

「しかし、未緒様は本当に…」



必死に説得してくる川瀬。


「もういいんだ。あいつだって、意地になってたんだよ。無理に俺にしなくてもいいのに…」

「香夜様…。それは、違うのでは…」

「あいつには、本当に酷いことをした…。これからはちゃんと幸せになってもらいたいしね。」



こんな、俺なんかの婚約者になってしまったばっかりに…。

俺は、あいつを悲しませたくない。

小さい頃からずっと一緒で、それが当たり前だった。

気付けば未緒はすごく綺麗になっていて、俺が触れたら壊れてしまいそうで…



早く離れてもらいたくて、色んな人に手を出していた。なのに、なかなか離れてくれなくて…。

未緒なら、いくらでも相手はいるはずなのに。



そこで川瀬が、小声で話しかけてくる。