いやだ…はやく席替えしたい。
あたし香川莱≪カガワライ≫は今日が席替えで学校一番不良の、でも顔はカッコいいってモテてる(女遊びがひどすぎる)金髪と茶髪がぐちゃぐちゃに混ざった頭の香川遠ヰ《カガワトオイ》ととなりになってしまったのだ。
あたしは、カッコいいなんて1ミリも思んないし、苗字が同じってだけで嫌。

遠ヰがとなりに来てからホントいいことない。
だから出来るだけ口をきかないようにするため、いつも席につくときはかたく口をむすんでいる。
口なんかききたくない。
あいつのことなんでそんなさけているかっていうと…
女遊びばっかしてるバカ野郎だから。
あたしは、男遊びも、女遊びも普通にゆるせない。どうしてそんなことするの?って友達の優香にもきいたことあるくらいだ。

遠ヰなんてキライっ。

いつものように昼休みの鐘がなりあたしは静かにイスから立った。それに比べとなりの遠ヰといったらガタンッと耳障りな音をたてて行った、その後ろ姿がたまらないほど蹴りたくなっている…

それに引き続き、あたしは優香に色々たずねる。
「ねぇ、遠ヰのどこがいいの?」

「何言ってんのあんた遠ヰ先輩のカッコよさもわかんないなんてまだまだだね~。第一、莱は男遊び全然しないからそういうところも鈍くなってく・ん・の!」

妙に「くんの」を強調して言い放つその姿は恋愛の神様って感じがした。そこからあたしは優香のことを「恋愛神様」と呼ぶようになり、毎日遠ヰへの疑問をぶつけていた。
そして恋愛神様はとうとう言ってほしくない言葉をいう日が今日なのだ。