「隆志は相変わらずこういう話は無視なのねぇ。そんなことじゃ、涼太に取られるわよ。」



まったく、香おばちゃんまで。



「隆志・・・一言びしっと言ってやって!」



私は隆志の元へと歩み寄る。


すると、隆志は一言。



「そういうわけだから。」


「はっ?それだけ?」



確かに一言とは言ったけど?


私は頬を膨らます。



「そんな冷たい隆志なんかやめて、やっぱり涼太にしちゃえば?」


「そうねぇ。私なら涼太君でもかまわないわよ?」



お母さん同士はわざと隆志に聞こえるように話している。


その言葉に隆志は、一瞬ため息をついたが、しょうがないなぁという感じで、ちゃんとみんなに聞こえるように宣言をしてくれた。



「花音の相手は俺だ!文句あるか!」



そんな言葉がちょっと嬉しく、自然に笑顔になる私。


親たちは「やれば出来るじゃない」なんて満足げ。


隆志はそんな会話に恥ずかしくなったのか、急に私と自分の荷物を持った。