――…ガチャッ


「詠葉、寝てるのか」


入ってイイなんて許可なく、恭兄はずかずかと部屋に入ってきた。


あたしは小さな一人がけのソファーに、寝転ぶカタチで横になっていた。




話したくない。




あたしはそっと睫毛を伏せた。



足音が近づく。


靴の音が頭の中まで届いてるみたいに、うるさく聴こえる。



「詠葉」

あたしが横になってるソファーのヒジ掛けに、腰をかけた音がする。

寝たフリを決めこんだあたしは、バレないように動揺を隠した。



恭兄はあたしの頬に手を添えて、そっと優しく髪をどけた。

そのまま頬をなでられて、その仕草にドキッとした。