「詠葉」 息継ぎの合間に囁かれる、低い声。 「きょっ、ンん、にぃ…っ」 不安がいっぱいで、あたしは必死で恭兄を求めた。 ゆっくりと離された唇は、失われた酸素をとり戻すように何度も深く呼吸をした。 恭兄の唇は、あたしの唇で濡れていた。 ちょっと色っぽい恭兄。 ……男の人が色っぽいって、ズルくない? 恭兄はあたしの前髪を梳くと、ニヤッと笑った。 「今日はここで一泊するぞ」