「ったく、おまえってヤツは」 なんていいながら、恭兄は優しい手つきであたしの頬をなでてくれた。 でもあたしには、その手が居心地悪くさせるだけだった。 “すみか”って誰? 前の彼女の名前なの? なんで棄てないで持ってるの? いまでも彼女のこと、想ってるの? スキって気持ちが大きくなりすぎて、あたしのなかの独占欲が芽生える。 その意地悪な行動も、優しくする手も、低い声も、全部あたしだけのモノなのに…… 不安だよ、恭兄……