ファーストキスは蜜の味。-ver.Ⅱ-


「ったく、おまえってヤツは」


なんていいながら、恭兄は優しい手つきであたしの頬をなでてくれた。



でもあたしには、その手が居心地悪くさせるだけだった。



“すみか”って誰?

前の彼女の名前なの?


なんで棄てないで持ってるの?




いまでも彼女のこと、想ってるの?





スキって気持ちが大きくなりすぎて、あたしのなかの独占欲が芽生える。


その意地悪な行動も、優しくする手も、低い声も、全部あたしだけのモノなのに……



不安だよ、恭兄……