あたしの手には、つい離すことのできなかったドッグタグが握られていた。 恭兄の過去なんて知りたくない。 知りたくないのに、あたしはみえない女に嫉妬した。 ――“すみか”という女に。 機嫌が急下降したあたしは、決まってだんまり。 本当なら、車じゃなかったら恭兄のそばから離れたいくらいだ。 そういえばあたし、スキっていわれてナイ。 陽クン(あたしの実のお兄ちゃんっ)には、あたしのこと愛してるって宣言してくれたけど…… 面と向かっていわれたコトはない。