ファーストキスは蜜の味。-ver.Ⅱ-


あたしの手には、つい離すことのできなかったドッグタグが握られていた。



恭兄の過去なんて知りたくない。

知りたくないのに、あたしはみえない女に嫉妬した。





――“すみか”という女に。





機嫌が急下降したあたしは、決まってだんまり。

本当なら、車じゃなかったら恭兄のそばから離れたいくらいだ。



そういえばあたし、スキっていわれてナイ。



陽クン(あたしの実のお兄ちゃんっ)には、あたしのこと愛してるって宣言してくれたけど……



面と向かっていわれたコトはない。