恭兄の愛車――黒塗りセダンは、グングン加速して高速を走り始めた。 あたしどこに拉致られるんでしょうか? 運転する横顔は相変わらず整っててカッコイイ。 フチのある眼鏡は、日よけのサングラスに変えられていた。 学校いってたからスーツのままで、ワイシャツに崩したネクタイ姿がカッコイイ。 キュンッ、てしまくっちゃう。 「なにみてんだよ」 「べ、べっつにーっ」 あたしの行動はすべてお見通しみたい。 「詠葉、エロい」 「――っ!!? バカ恭兄っ!!」