あーちゃんをフルシカトしてひーちゃんの話に耳を傾ける。
相変わらず気だるそうに頬杖をついてはいるものの、さっきよりはマシな表情になっていた。
「うん、出かけたけど」
「ファッションビル、行った?」
その問いにも肯定の返事をすれば、納得したようにひーちゃんは何か呟いている。
柚と一緒にいるとこでも見られたのかな。
なんて説明しよう、と考えたけど、昔柚と階段で話しているところを既に目撃されている。
それに冬休み前に軽く説明したし……とりあえずはいいか。
何か聞かれたら答えることにし深く追求はしないことにした。
「じゃあ、そうだ。髪の長い人と一緒にいたの、碧だよね」
「……え」
全く的外れなことを言われ、暫く頭がフリーズしかける。
ひーちゃんが目撃したのは柚と一緒にいるところじゃなかった。
……言われてみれば、確かに昨日あまり柚といなかったし。
美鈴さんと一緒にいるのを見られたのは、少々厄介なことになりそう。
案の定、無視されてヘコんでいたあーちゃんは「何!?」とテンション回復していた。
「おいっ、南城とじゃねーの?」
「いや柚と出かけたんだけど……」
「南城髪長くなくね?」
「……俺が見たのは髪の長い人だったけど。身長も碧とあんま変わらないくらいの」
「? どういうことだよ。それに南城はちっせーぞ」
僕の言葉を聞かずに二人で言い合いを始めてしまった。

