が、そんなことで挫ける男じゃない。
「だろ?俺もそう思ってんだよ。でもさ、現実そう上手いことはいかないんだって」
「……」
「あ、そうだ。陽向ってこういう時どーすんだよ?」
「え?」
話の焦点はひーちゃんへと移る。
むくりと身体を机から起こし、頬杖を付きながら「んー」と声を唸らせた。
「特に……何も」
「その間が怪しいな。あっ、お前あれだろ!仲直りのキスしようとか言って誤魔化すタイプ――、いでっ!」
ゴンッ!と、鈍い音が響く。
どうやら近くにあった教科書をあーちゃんへ投げ付けたらしい。
直後、罵声とも大声でひーちゃんに文句を言っていたが全てシカトされていた。
「あーちゃん……そういうこと言うから悪いんだよ」
こうなるって分かってるのにやるからな……
二人に聞こえないよう溜め息を吐く。
未だにあーちゃんはひーちゃんに相談なのか冗談なのか、どちらともつかない言葉を並べていた。
「こないだもさ一緒に服見に行ったんだけど、」
「あ……そういえば碧。昨日出かけてた?」
「え?」
「聞けよ!!」

