……ここにいても疲れるだけだしどっか行こうかな。

もう寒くないし、中庭とかいいかもしれない。


そうと決まればさっさと出て行こう。


デジカメを手に持ち椅子を立ち上がろうとしたが、がしっと腕を掴まれて立ち上がれない。

ぎろっと眼鏡越しに睨んでもヤツには効果がなかった。



「なー、俺そんなに悪いことしたかな」

「その前に僕はあーちゃんが何したか知らないよ。聞きたくないから言わなくていいけど」

「碧……今日冷たくね?」



興味がない話をされたら誰だってそういう態度を取るだろう。

今日に限ってしつこいあーちゃんはタイミングが悪い。

まだ別の日だったら、ちょっとは聞いてあげれたかもしれないのに。


「おい陽向!お前もボーイズトークに入れ!」


僕が相手にしてくれないと気づいたのか、近くの机に寝そべっているひーちゃんに声をかけた。


数秒後、ダルそうに起き上がるひーちゃん。

この人も何て言うか……一応部活中なのにマイペースもいいとこだよね。



「ボーイズトークって何……そんな単語ないよ」



目に手を当て寝起き独自のゆったりした口調で話す。

突っ込むとこそこなんだ、と客観的に感心してしまった。