綺麗に包んでもらったプレゼントを鞄へ入れて店を出る。


ちょっと遅くなっちゃったかな……


何時にどこで待ち合わせ、と柚と決めていなかったため適当にフロアを歩き回る。

時刻的には夕方なのに、休日のせいか相変わらず人が凄い。

もうこうなったら携帯で、とズボンから取り出し柚へ電話をかけようとしたその時。


「……あ」


フイに視界に映った肩で切りそろえられた髪。小さい身体。

柚だ、と咄嗟に判断し、傍へ駆け寄り腕を掴んだ。


「…?……あっ、碧君。会えてよかった」


今更間違ってたらどうしよう、なんて考えたけど柚でよかった。

本物ではない笑顔を見せ、優しく口元に孤を描く。


「うん、ごめん。時間かかっちゃったよね」

「大丈夫だよ。私も買い物してたから」


ほら、と手に持っていたショップ袋を見せてくれる。

ああ、そういえばこの店好きって言ってたな。


……て、柚のことなら何でも分かるのに。


反対に言えば、柚のことしか分かっていないのだけれど。


「なら良かった。そろそろ帰る?もう夕方だし」

「うん、そうし――、」


プツリと切れた言葉。

どうしたんだろう、と顔を柚へ向けてみる。


すると彼女の視線は僕ではなく、左の方を見ながら固まっていた。