―――けど
「少し、違います」
美鈴さんの瞳が微かに動く。
綺麗な二重のソレに見つめられると、なんだか気恥ずかしくて視線を逸らしてしまった。
「うまく説明できないけど……なんか違うんですよ。って、これじゃあ分かりませんよね」
はは、と乾いた笑みを放つ。
自分でも何言ってるか分からないし、全然答えになってないな。
言葉って難しい、と改めて実感する。
「じゃあ、もし」
手に持っていたイヤリングを売り場へ戻し、美鈴さんは声を静める。
明るいBGMに掻き消されないよう、その小さな声に耳を集中させた。
「誰かに告白されたら、どうするの?」
……そんなこと、考えたこともなかった。
少し前まで、柚以外の誰かを想うことなんてない、と確信していたから。
今はそう思ってないけど……実際、美鈴さんの言葉通りになったらどうするんだろう。
「―――……、」
カチャリ
持っていたブレスレットを戻し、じいっと視線を固めた。

