「いや、あの」
……ああ、そっか。
美鈴さんは僕の気持ちを、知っていたから。
まだ引きずってるんじゃないかって、思っているのかも。
―――正直吹っ切れてはいない。
でも、ずっと過去に執着しているわけにもいかない。
曖昧な選択がぐるぐると頭を循環していく。
「柚さんは――……そうね。あまりごちゃごちゃしてない物がいいと思うわ」
既に美鈴さんは『柚』へのプレゼント選びを始めている。
どうしよう。柚にあげるんじゃないのにな。
かと言って『あなたに渡す物を選んでました』、とも言いにくい。
「ねえ、これなんてどう?」
シャラン、と揺れたシンプルなネックレス。
シルバーのチェーンにクローバーのチャームがついている。
……そういえば、もうすぐ柚の誕生日だった。
ゴールデンウィーク直前の今の時期、クローバーのネックレスは合っていると思う。
確かに柚には似合いそうだ。
でも、柚と美鈴さんはタイプが違う。

