「碧君、今日は買い物?」
「そんなとこです」
「誰かにプレゼントでも渡すの?」
「え?」
何で分かったんだろう。
……って、そうか。ここ、女物の店だからか。
明らかに男一人で浮いてる僕は、確かに誰かのプレゼントを買いに来たヤツにしか見えないんだろう。
「もう決まった?」
「いや、まだです」
困ったな……ぶっちゃけ会いたくはなかったのに。
プレゼントを買いに来たのは確か。
でも、渡そうとしている張本人に会うなんてついてない。
これじゃあ渡した時、『あの時買ったんだ』ってバレる……
「良かったらあたし、選ぶの付き合いましょうか?」
「え」
いやいやいや。それはもっと困るんですけど。
僕はあなたに渡すプレゼントを買いに来たんですけど。
なんて墓穴を掘ることもできず、返す言葉が見つからない。
黙っている僕を見て、何を思ったのか美鈴さんは
「大丈夫。柚さんには秘密にするわよ」
と、小さく呟いた。

