そもそも付き合うってどういうことなんだろう。


翠君と一緒に帰った次の日、興味本意でティーン雑誌を購入し恋愛ページを開いて見てみた。

春は出会いの季節っていうけど本当にそうなのかもしれない。

読んでて羨ましくなる投稿が沢山あって、溜め息が出てしまうほど。


……こういうことって本当にあるんだなあ。


誕生日に霞草を100本くれた、とかは流石に微妙だけど、それでもどの人も幸せそうだ。

愛のカタチはそれぞれって分かってる。

だけどなんか、こういうのを読んでるといいなあと思う願望が強いんだ。



「あれ、何読んでんだよ南城(なんじょう)」



放課後の教室。

部活にも行かず机で例の雑誌を読んでいるとフイに名前を呼ばれた。


頬杖を付きながら顔を上げると、金に近い茶色の髪の日高(ひだか)君がそこにいて。

片手にはカメラを握りしめている。


……部活中かな?


「うん、ちょっとね」

「雑誌か?」


3年生に上がる時にクラス替えはなかったから、今年も日高君と同じクラス。

私の前の席に座りこっちへ身体を向かせると、視線は私が眺めている雑誌へ。