「よ、余裕がムカつく……」


なんて言ってみたものの、悔しいけど嬉しいことに変わりはなくて。

ジョーロを水道へ戻しながら私も家へ帰る準備をする。



――ねえ、ママ、ごめんね。

ママは昔、碧さんと約束したんだよね。

自分の子と碧さんの子を幼なじみにしようって。


実際、私と紫音は幼なじみだ。主従関係でもない、ただの普通の幼なじみ。

ママの夢は叶ったかもしれない。


でも、半分は違うんだ。

私と紫音の関係を知ったらどう思うかな。

吃驚する?悲しむ?それとも、いつもの調子でふわりと笑うのかな。

……もしかしたら既に気づいているかもしれないけど。



「ママって意外と鋭いからなあ……」



いつもは内気で穏やかな性格。なのにどこか大胆で両親を見てると完全に主導権はママが握っている。

完全に翼はママ似だな、なんて思いつつ、個性的な家族が待つ家へ向かって歩き出した。





END