「本物の碧君は人の気持ちを嘲笑うヤツなのね」
「いや、誤解ですよ。なんか不釣り合いだったんで、つい」
「へえ。あたしに恋愛が似合わない、って言いたいのかしら」
誤解が誤解を生んで更に状況は悪化。
軽く笑っただけでこんなに怒るなんて。
寛大な心を持っているのかと思ったけど、どうやら違ったらしい。
……って、これじゃ人のこと言えない。
結局は俺が見てきた彼女も『偽り』なのだろうか。
それとも勝手に彼女の理想像をつくりあげていただけ?
どっちにしたって目の前にいる美鈴さんは、俺が想像していた性格と少しズレている。
「似合わなくはないです。ていうか、そんなこと言ってないんで」
「ムカつく」
「……ムカつかれても困るんですけど」
何なんだもう。
日頃女性といったら柚としか会話しないせいか、慣れない言葉のキャッチボールに苦戦中。
とりあえず誤解を解かなければ。

