「そんなの、柚さんを好きだったら当然のことでしょ?」
「……捉え方によってはそうかもしれませんけど、俺は、」
「それだけ本気だったってことよ。まあ、柚さんが選んだのは本家の男だけど」
「わかり切ったことを言わないでください」
……何なんだ、一体。
薄汚い気持ちをぶちまけたのにも関わらず、美鈴さんは自分のペースを一切乱さない。
それどころか怯(ひる)んだ様子もない。
こう冷静に反応されると勝手に気持ちを暴露したことがやけに恥ずかしく思えてきた。
「ねえ、困ること言っていい?」
「はあ、もう何でもどうぞ」
美鈴さんといて自分がガキっぽく感じたことは一度もなかった。
いや、別に大人っぽいと思ってるわけでもないけど、それなりに年相応の反応はしていたはず。
なのに今は違う。
気持ちをぶちまけてスッキリしたはずなのに、彼女との年の差をこうも感じるなんて。
1歳ってこんなに違うものか?と頭の中で自問していると。
「眼鏡取って」
「……はい?」
「だから、眼鏡。それいらないわよ」
「いらないって言われても俺の私物なんですが……って、ちょっ」

