クロスロード


『――以上で委員会を終わります。皆さん、お集まりいただきありがとうございました』


その言葉を合図に次々と出て行く委員。

僕のクラスの女子も『やっと終わった!』と叫びながら教室を出て行く。

すれ違う人達は『あー、かったるかった』『わざわざ部活ない日に呼び出すとか最悪』と、グチを吐き散らす。


……確かに疲れたし、僕も嫌だって思ってたけど

そういうの、教室出てから言えばいいのに。



『……、』



そんなことを思ったのは、鞄を肩にかけて教室を出ようとした時。

教壇の前でトントン、とプリント整理をしていた黒髪の彼女が、きゅっと下唇を噛みしめていたから。

決して同情、とかでそう思ったんじゃない。

ただ単純に、何の理由もなく思ったんだ。



『――あの、』



気づいた時僕は、教壇に近付き彼女に話しかけていた。

フと視線を上げて目が合う。

間近で見るとますます綺麗だな、なんて一人納得していると。



『どうしたの?委員会ならもう終わりだから、帰っていいわ』

『や、違います。……講習会のプリントって、いつ作るんですか?』