クロスロード


……『ずっと』?



頭に引っかかるその単語。

そんな僕に確信をつくよう、美鈴さんは言葉を繋げた。




「麻生君の婚約者になる前から、ずっと好きだったの」


「……え、」




ちょっと待って。翠の婚約者になる前、から?


それだと辻褄があわない。だって僕と美鈴さんは、翠を通して知り合いになった関係。

『翠の婚約者』というフレーズでしか美鈴さんを知らなかった。

高校の時相当人気はあったみたいだけど、ソレを知ったのはつい最近だし……


そもそも学年が違うから上級生と関わることは滅多にない。

写真部に先輩はいなかったし、自分から他学年に関わることもなかった。


なのに、どうして……



「あ、の……僕の存在知ってたんですか?」



混乱しすぎて存在確認の質問を投げかけてしまった。

美鈴さんは吃驚したような顔をしたけど、すぐに笑顔を張り付ける。