クロスロード


『あたしが告白したら、どうするの?』



いつしか美鈴さんに問われた言葉を思い出す。

そう。アクセサリーショップでプレゼントを選んでいた時に。


あの時は何も言えなかった。どうしたらいいのかわからなくて身体が固まってしまった。

けど、彼女の言葉に思った以上に動揺している自分がいた。



「――碧君、」



透き通る声が鼓膜を振動させる。

目が逸らせない。身体が動かない。

どくんっと音を立てた鼓動。




「あたし、碧君が好き」




綺麗に色づけられた唇から漏れたコトバ。

その瞬間、さわさわと吹いていた風が急停止したかのようにピタリとやんだ。

乱れていた髪も戻りはっきりと見える彼女の表情。

フと膝に目をやれば、その上にぎゅっと握りしめた両手の拳が視界に映った。



「ずっと……ずっと前から」