「得点係はあたしがやったよ」

「あっ、嘘。ありがとう真菜!」



最初の頃はちゃんとやってた記憶があるけど、途中からよく覚えていない。

壁に寄りかかって座ったのが間違いだったかな。


コートには私達と戦う相手がもういて、重たい身体を起こしコートに入る。

ラケットを手にして隣を見れば、気合いが入った真菜の表情。



……体育得意だもんね。



その点私はとにかく苦手というか、どの競技をやってもうまくならない。

根っから運動は向いてない体質かも……



「よろしくお願いしまーす」



真菜の掛け声に始まる試合。


ダブルスだから足を引っ張るわけにはいかない、けど……

目の前で繰り広げられる試合は2対1、と言った感じで。

私は何もしないでぼけっと突っ立っている。


……ど、どうやって動いたらいいのかも分からないよ。


シャトルが勢いよく飛び交う中、「わー……」と呑気に歓声を上げる私。

「柚、アンタ何してんの!?」という真菜の声がしたけど、口元に苦笑いしか浮かべられなかった。




その後、一応動いたりはしたけど結局試合には負けてしまい、真菜が不機嫌になったのは言うまでもない。