クロスロード


ベッドの上に座りながら乱れた呼吸を直す。

自分からしてるのにうまく息が吸えないは、やっぱり下手だからかな。



「い、きなり、何」



途切れ途切れに言葉を発する翠君。

傍には私が解いたネクタイが落ちていて、かあっと顔が赤くなった。



「……したかったから……」

「……」

「み、翠君は触れてくれないから……だから、自分で……」



資料室の時も部屋の時も、せがむのはいつも私から。

翠君から、なんて無いに等しい。



「……翠君はこういうことするの嫌?」



肌蹴た鎖骨が目に入って思いっきり逸らす。

白い肌も、細い身体も、全てが私を欲情させた。



「嫌じゃ、ない」



ぼそっと吐かれたその言葉。


え、と顔を上げたけど、涙で視界がぼやけたせいで表情がよく窺えない。

でも言葉だけは、はっきり聞こえた。