「なんで触れてくれないの?」
こんなのまだ序の口。
もっともっと近づきたい、のに。
最初からこれじゃ、全然先に進めない。
「私のこと嫌なら、さっきみたいに拒んでくれていいよ」
―――けど、拒まなかったら。
もう我慢なんてしない。
翠君の気持ちも大事だけど、自分の気持ちだって優先したい。
「翠君が、欲しいよ……っ」
抱きついていた腕を首にまわし、至近距離に顔をぐいっと近づける。
ふわりと茶色の髪が私の腕に触れた。
切れ長の瞳と視線が交わり、頭から爪先まで電流が走る。
ゆっくりと目を閉じて、顔を傾け行動に移した。
「やめ、」と言いかけた彼の言葉を強引に唇で塞いだ。
ぐぐっと力まかせに押し付け呼吸もろくにできずにキスを繰り返す。
触れるだけのソレを何度か繰り返した後、勢いよく翠君をベッドへ倒す。
どさっ、と倒れ込む音。直後私は彼の上に乗って、顔の両端に手をついた。

