『……え？翠？』
僅かだけど碧君の声が携帯から漏れた。
でもそれ以上に翠君の声に集中してしまう。
……なんで……
「柚は俺のなんだけど」
『は？僕はただ――』
ブツッ
通話終了、とディスプレイに表示される。
何が何だか分からない。
さっきあんなに拒まれたのに、今翠君が言った言葉は矛盾してるよ。
どうして碧君にあんなこと言ったの？
「……これ」
差し出された私の携帯。
こくん、と頷きサイドテーブルに置く。
再び動転する頭についていけずに頭を悩ませていると、ぐいっと腕を引かれてバランスを崩した。
ぼふ、と柔らかい感触。
至近距離には翠君。
抱きしめられるのでもなく、キスするわけでもなく
絡み合うだけの視線に戸惑いばかりが増えていく。
―――……翠君が何をしたいのか、分からないんだ。
