……でも、美鈴さんの前で柚に電話をかけるのはいくらなんでも無神経だ。

だからと言って柚に伝えなかったら後々ショックを受けそうだし……


って、何でこんなに悩んでいるんだろう。



「いいわよ、特別にね」


「……へ?」



ココアのコップを持った美鈴さんは楽しそうに笑う。

何が特別なんだろう、と疑問に持ったと同時に、続きを言ってくれた。



「何かあるんだったらいいわよって。柚さんのことでしょ?」

「あ、いや、その」

「あたしの気が変わらない内に行動しなくていいの?」



……偉そうに言ってるけど、気を使ってくれているんだとすぐに分かる。

優しい人、だな。


すみません、と口にした直後、アドレス帳から柚の名前を探し出し電話をかけた。




―――今柚が、何をしているかなんて、想像できないまま。