僕が柚を好きだったことを美鈴さんは知っているから、あの時も誤解したんだろう。
それはそれでしょうがない。
紛れもない事実、なのだから。
「あ、ご、ごめんなさい!あたし、てっきり柚さんにあげるのかと思って、」
「いや、大丈夫です。ちゃんと誤解も解けたんで」
それに、あの時に誤解を解かなかった僕も悪い。
けど結果的にネックレスを買えたし、今渡せているからいいとしよう。
「……柚さん、元気にしてる?」
唇から零れたその名前。
そういえば美鈴さんは東高を卒業してから柚には会ってないんだよな……
前は何回か翠への用事で敷地に足を運んでいたけど。
「あー……カラ元気って感じですね」
「……麻生君とうまくいってないってこと?」
「そんな感じです」
その答えに美鈴さんはふふっと笑う。
てか、美鈴さんって翠の元婚約者だよな。……忘れてたけど。
謎の駆け引きをしていたらしいが、そこら辺についてはよく分からない。

