「クリスマスの時の、お返しです」
美鈴さんは柚にあげる、と勘違いをしていた。
まあ、あの時はそうでもよかったかもしれない。
彼女にあげるのを選びに来ていたのだし、その場でネタバレというのもつまらないから。
「あれは、あたしが勝手にあげたもので……」
「いや、それじゃあ悪いんで。僕が持っててもしょうがないし、受け取ってください」
「……ありがとう。開けてもいいかしら?」
「はい」
しゅるり、と解けていくリボン。開封される包み。
やがて小さい箱を開けた瞬間、美鈴さんは「え」と声を漏らした。
「これ、あの時の……」
そう。美鈴さんとアクセサリーを選んでいた時に僕が彼女に『こっちはどうですか』と手に取ったネックレス。
十字架のチャームがついた、シルバーのシンプルなデザイン。
そんな僕に彼女は
『あんまり柚さんっぽくないんじゃない?』なんて言っていたっけな。
「本当はあの日、美鈴さんへのプレゼントを買いに行ってたんですよ」
「え?」
「勘違いされちゃいましたけどね」
はは、と軽く笑う。

