「……って、え!?」


よくよく見ればナンパされてる人に見覚えがある。

ていうか、僕が捜してた人だと思うんだけど……

Uターンしてその場に急いで駆け付けると、二人の視線が僕へ集まった。



「碧君!」

「え、何、待ち合わせってコイツ?」



やっぱりそうだ。美鈴さん、だった。

何で気づかなかったんだろう、と思ったけど、今日はいつもみたいに髪を下ろしていない。

頭上で髪をおだんごにしていたから、よくよく見ないと美鈴さんと分からなかった。



「おいおいおいマジで?高校生と待ち合わせかよ」



……まだいたのかよ。

呆れながらその男に目をやると不満そうに僕を睨んでいる。



「美人なのに男の趣味悪いんだなー」



カチン、と頭の中で音がなる。


僕のことをどうこう言うのは全然いい。

けど、今のは美鈴さんのことも悪く言っているみたいで腹が立った。



「――美鈴さん、行きましょう」

「っえ、」



何か反抗しようとしていた美鈴さんの手を掴む。

そのままぐいっと引っ張り、その場を早足で去った。