明日が土曜日、そしてゴールデンウィークが始まるせいか、駅前はいつも以上に混み合っている。
まだ夕方じゃないからサラリーマンはいないけど学生が凄い。
同じような制服を着た男女が仲良く歩いていく姿を何組も目撃してしまう。
よく手繋いで歩けるな……と遠目から感心。
絶対僕は無理だ。誰も見てないならいいけど、ここ普通に人いっぱいいるし。
まあ手はまだいいとして、腕組むとかはもう見ていられない。
でもいつだかひーちゃんとせーちゃんが手繋いでるの見たしな……学校帰りに。
僕の考えが固いだけかもしれない。
「っと、確かこの辺……」
駅前の時計台。指定された待ち合わせ場所だ。
彼女らしき人物がいないか捜していると、急に聞こえてきた声。
「――だから、待ち合わせしてるって言ってるでしょ!」
「でもソイツ来ないじゃん?もう良くね?遊び行こーよ」
「行かないわ」
なんだナンパか……昼間からよくやるな。あの男しつこそう。
なんて、呑気にその場を通り過ぎようとした、が。

